私的半端メモ

エンタメ鑑賞に私情をめちゃくちゃ持ち込みます

社会で頑張る人たちの日常(と非日常)|『ラストマイル』

※ストーリーには直接触れていませんが若干のネタバレあり

 

ここ2ヶ月、ずっと深夜残業が続いている。仕事柄、めちゃくちゃ忙しい時とめちゃくちゃ暇な時を繰り返しているのだが、めちゃくちゃ忙しい時が延々と続いている。

今日、休日出勤した分の代休を取った。決まった予定があったわけでもないのに仕事が忙しい時に休みを入れてしまった。私には休むセンスがない。

家にいると仕事をしてしまいそうなので、外に出ることにした。余っているムビチケがあるので、あまり惹かれないムビチケラインナップの中で1番良さそうだった『ラストマイル』を観に行くことにした。

何度か広告は目にしており、爆発シーンが印象的だったので、大規模アクションサスペンス系だと思っていた。

 

実際は、大規模サスペンスはただの外面でしかなく、内面は仕事でメンタルをやられた人たちの話だった。業界、社内組織、取引関係…仕事の中で起こりうるすべての憂鬱やストレスがとんでもなく高い解像度で描かれていた。

収入への不安、肉体的疲労、組織の圧、出世のプレッシャー、取引先との上下関係…。社会人誰もが感じ、心の疲労に繋がりうる不安やストレスが作中に存在する。

自分のストレスの原因である人も、誰かにストレスを与えられている。誰もが誰かへの加害者であり被害者である。

東京支社の代表五十嵐も、上の人間からの圧があった。上の人間であるアジア統括長も、さらに上の人間からの圧があっただろう。

 

話は変わるが、友人が仕事がしんどい、もう休みたい相談してきた時、私は迷わず「休んだ方がいい」と言っていた。辛そうな姿をずっと見てきたから、そう声をかける。自分が抜けたくらいで会社は終わらない。なんだかんだ自分無しでまた歯車は噛み合っていく。

だから、周りに迷惑をかけることを心配しなくていい。もっと気軽に休んでいい。でも、実際に自分が同じ限界を迎えた時、休めなかった。当事者になって、見るからに限界を迎えているのに休もうとしない友人の気持ちが少しわかった。

周りがどれだけ「大丈夫」と言ってくれても不安が残る。「一度休んだことによる上司からの印象の変化」が0とは言えない。メンタルを壊した経緯からの気遣いで、大きなチャンスを逃すかもしれない。そんなことばかりを考えて、結局休めないままでいる。

「もうミスれない」

そう言った舟渡エレナの気持ちが痛いほどわかった。

自分の中で、社会人生で初めての挫折だった。そのタイミングでこの作品に出会えてよかったのかもしれない。