私的半端メモ

エンタメ鑑賞に私情をめちゃくちゃ持ち込みます

社会人、憧れの夏休みプラン

f:id:ymmt75:20240505100448j:image

夏休みを失って8年が経った。暇を持て余した1ヶ月半の夏休み。

 

子どもの頃は気付かなかったが、夏休みには特有の空気感がある。昼下がり、開けっ放した窓から入ってくるささやかな風。木々の葉が揺られる音。遠くから聞こえる子どもの声。大人になると、無性にその空気感を味わいたくなる。そう、疲弊した社会人には夏休み感が必要なのだ。

 

数年前から憧れている初夏の過ごし方がある。
朝区民プールで泳ぎ、近所の中華屋で昼を食べ、家に帰って窓を開けっ広げて昼寝をすることだ。夕方、大好きな映画「君の名前で僕を呼んで」を見れると尚良い。ただ、一人だと恐ろしくフットワークの重い私は、願いつつも実行したことがなかった。

 

今年のGWは、人との予定を全く入れなかった。天気を見ると、かなり初夏っぽい。夏休みチャンスだと思った。憧れの夏休みを実行するために、同僚に宣言することにした。

 

朝8時、決意が揺らがないうちに布団から抜け出す。目玉焼きをウィンナー、トーストのいつもの朝ご飯を作り、大谷翔平の打席速報をチェックしながら支度をする。

区民プールの混雑状況をチェックすると、「混雑しています」とのこと。午前中だったら大丈夫だと思ったのに...。「混雑」がどれくらいのものか不安になるが、ここで怖気づいてしまったら終わりだ。

自転車がパンクしているので、シェアサイクルで区民プールに向かう。初見殺しの建物構造に困惑しながらプールにたどり着くと、めちゃくちゃ空いていた。片道コースをほぼ貸し切りながら、平泳ぎを中心に500m弱泳ぐ。

最近気付いたが、自分は映画館や図書館など静かなところが好きだ。周りの音が少ないと、五感が研ぎ澄まされる。そうすると、服の擦れる音や足音、紙を捲る音など、細かい音に敏感になれる。余計なことを考える余地がなくなり、思考が内向きになる。水の中も同じだなと思った。音の少ない世界。都心で暮らしているとなかなか味わえない。

プールの後の気だるさは心地よい。重心がグッと下に落ちる感じが良い。サッと紙を乾かして、ずっと気になっていた中華屋に向かう。初夏の緑々しい葉の色が好きだ。眩しいくらいの新緑と、日に日に強くなる日光。再び汗ばみながら、11時半、開店直後の中華屋に入る。

10分ほど歩いたから汗をかいた。卓につくなり、コップいっぱいに水を注いで一気飲みする。こういう時は水が一番美味しい。夏の昼の中華屋は良い。ワイドショーの声と、開けっ放しの引き戸からほのかに入ってくる風を感じながら無心でかきこむ。

 

充実した気持ちで家に帰り、シャワーを浴びて窓を開ける。これだ〜〜!昼に寝る最高さたるや。浅い睡眠が逆に良い。聴覚が半分起きている感覚。

1時間寝て、夏を感じた時に必ず観る映画「君の名前で僕を呼んで」を観て、見事夏休みを遂行した。